私の大好きな小説に、秦 建日子氏のドラマ「アンフェア」がある。捜査一課時代の雪平夏美は、我が娘よりも殺人者を追いかける生活を続ける。彼女の初動捜査では、亡くなった被害者と同じ場所で寝転ぶのである。探偵の私には、被害者の心に触れ、被害者の生きざまを知る儀式であると勝手に思っている。
行方調査も同じであると考えている。私は、対象者の部屋に数時間も滞在する事から始める。理由はハッキリとは説明できないが、対象者との細い線が見えるのである。それから捜査活動に入る。

①我々の心構え
私の家族が居なくなったと同じ気持ちで取り組みます。また、専門調査員としての多角的な見方と高い調査能力・膨大な行動力を持ち続けます。『必ず、絶対に見つけ出す！』見つけ出すことで、我々の任務は安堵と共に終了します。
②対象者の心理と同一化する
対象者の生活状況・環境・歩んだ人生・歴史を全て把握 する事が第一歩となります。我々からすれば見た事も無い、話した事も無い対象者 ですが、まるで古くからの友人を捜す様に、対象者の情 報全てを知る事から始まります。彼（もしくは彼女）の心理と同じ考え方を持つ事が出来る ようになり、更にその上の予測まで考える事が出来るようにします。
③家出の原因を掴む
家出には必ず原因があります。一つの理由の場合もあるし、複数の理由が重なって家出する場合もある。本当の解決とは、家出人発見後の、家出人の生活の再スタートです。本人を始め、家族・関係者が問題を解決しなけば、本当の意味での解決とはならないでしょう。
④調査方法を複数考える（そして多くの調査は無駄）
生きている家出人は、必ずいつか捜し出す事が出来る。当たり前の セオリーです。我々プロは、常に幾つかの調査方法を持っていなけれ ばならない。短期的な方法・中期的な方法・長期的な方法。そして、現場は必ず動く時期（チャンス）がある。そのチャンスを確実に物にする調査の実力と行動力が 無ければ、何試合やっても負けます。

また、見つけ出す事が出来た調査方法以外は残念ながら無駄に見られがちです。人捜しは無駄な調査の繰り返しでもあります。砂浜から1つのダイヤモンドを捜し出すケースに似ていますが、探す作業を諦めたら絶対に見つけ出せません。
⑤デジタル調査とアナログ調査
最近の家出人捜しは、デジタル調査やデータ調査に頼りがちの傾向が強いです。しかし、対象者を捜し出すのは、最後は必ず調査員（人）である。聞き込みや張り込みなどのアナログ調査を惜しんではいけない。最終的には、人です。
⑥調査活動の終結
対象者を見つけ出す事で調査が終了では無い。 手配書の回収や、気を使って頂いた方々へのお礼の 電話・連絡を必ず行う。 人が人を捜すのに、周りの方にお礼の連絡をするのは 当たり前の事だし、家出人の再スタートの為にも、終わりは小さくまとめなければいけない。